法改正により2020年4月1日から施行された配偶者居住権の金額の計算方法をお伝えします。分かりにくい計算式を、分かりやすくお伝えできたらと思います。

そもそもの配偶者居住権についてどういったものかについては、こちらをご参考下さい。
配偶者居住権とは?要件、メリットデメリット、注意点等を徹底解説!

配偶者居住権の計算方法

早速ですが、配偶者居住権の計算方法は次のようになります。

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権=①建物敷地の現在価値-②配偶者居住権が付いた所有権の価値

つまり、配偶者居住権の金額を計算するには、

①建物敷地の現在価値
②配偶者居住権が付いた所有権の価値

を明確にする必要があります。

それぞれ建物と土地に分けて計算方法を解説します。

建物の配偶者居住権の金額

配偶者居住権=①建物の現在価値-②負担付所有権の価値ですので、①②それぞれの計算方法を明確にしていきます。

①建物の現在価値

建物の現在価値は、建物の相続税評価額になります。
この建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額ですので、固定資産税評価額を調べる必要があります。

固定資産税評価額は、毎年通知される納税通知書か市役所で発行できる固定資産公課証明書に記載されております。

こちらに記載されている金額をそのまま現在価値として計算していきます。

固定資産税納税通知書-1
固定資産税納税通知書(見本)
固定資産税納税通知書-2
赤線部分が固定資産税評価額
評価証明書ー1
固定資産公課証明書
評価証明書-2
赤線部分が固定資産税評価額

②配偶者居住権が付いた所有権の価値

次に、建物に配偶者居住権が付いた場合の所有権の価値を算出する必要があります。

建物に配偶者居住権が付いた場合の所有権の価値の計算方法は次の通りです。
何が書いてあるのか、大変分かりにくいと思いますので、一つ一つ説明させて頂きます。

建物の負担付き所有権の価値

負担付き所有権の価値=
Ⓐ建物の相続税評価額×(Ⓑ建物の残存耐用年数―Ⓒ残存年数)/Ⓑ建物の残存耐用年数×Ⓓ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

Ⓐ建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、先ほど説明した固定資産税評価額のことです。

Ⓑ建物の残存耐用年数

建物の残存耐用年数とは、その建物にあと何年住めるか、という年数を言い、計算方法は【建物の法定耐用年数―築年数】となります。

この法定耐用年数は、建物が木造や鉄骨など、どのような造りでできているかで年数が変わってきます。

細かい計算方法については省略をさせて頂きます。

法定耐用年数の一覧表です。

法定耐用年数の表

木造…33年
鉄筋コンクリート…70年
レンガ・ブロック…57年
骨格材3mm以下の金属造…28年
骨格材3mm超の金属造…40年
骨格材4mm超の金属造…51年

上記の構造に対応する年数から築年数を引いた数が、残存耐用年数です。

残存耐用年数がマイナスになる場合

例えば、法定耐用年数33年の木造の建物に40年以上住み続けている場合、建物の残存耐用年数はマイナス6年となります。

残存耐用年数がマイナスになる場合、残存耐用年数は0として計算します。

この場合、負担付き所有権の価値は0円となるので、建物の価値がそのまま配偶者居住権の価値となります。

Ⓒ残存年数

残存年数とは、配偶者が実際にその建物に何年住むかの年数の事を言います。

そのため、遺産分割協議で配偶者居住権の年数を1年と決めれば、残存年数は1年となり、5年と決めれば残存年数は5年となります。

また配偶者居住権の年数を「終身」とすることもでき、終身と設定した場合の残存年数は、配偶者の平均余命年数になります。

下記の表は厚生労働省が発表している平均余命年数です。

簡易生命表
平成30年簡易生命表|厚生労働省

例を挙げますと80歳の女性が配偶者居住権を終身で設定した場合、残存年数は11年となります。

Ⓓ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

配偶者居住権の残存年数に見合った数字を掛け算していきます。

複利現価を求める計算方法については、省略させて頂きます。

複利現価率

計算例

具体例を使って計算してみます。

例題の設定

配偶者:妻
年齢:65歳
建物構造:鉄筋コンクリート造
築年数:20年
建物の相続税評価額:2000万円
配偶者居住権の期間:終身

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権=①建物敷地の現在価値-②配偶者居住権が付いた所有権の価値

①建物敷地の現在価値は、建物の相続税評価額2000万円と分かっているので、②配偶者居住権が付いた所有権の価値を計算していきます。

建物の負担付き所有権の価値

負担付き所有権の価値=
Ⓐ建物の相続税評価額×(Ⓑ建物の残存耐用年数―Ⓒ残存年数)/Ⓑ建物の残存耐用年数×Ⓓ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

まず、Ⓑ建物の残存耐用年数を計算します。
この建物は、構造が鉄筋コンクリート造なので残存耐用年数は70年となります。(残存耐用年数の一覧表
ここから築年数は20年なので、70年―20年で建物の残存耐用年数は50年ということになります。

次にⒸ配偶者居住権の残存年数を計算します。
今回、配偶者居住権の期間を「終身」と設定したので、残存年数は、配偶者の平均余命となります。(平均余命年数一覧表
65歳の平均余命年数は24年となるので、残存年数も24年となります。

そしてⒹ複利現価率を見ていきます。(複利現価率一覧表
残存年数24年の複利現価率は0.492となります。

これらの数字を当てはめていくと

建物の負担付き所有権の価値
=Ⓐ2000万円×(Ⓑ50-Ⓒ24)/Ⓑ50×Ⓓ0.492
=5,116,800円

となります。

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権=①建物敷地の現在価値-②配偶者居住権が付いた所有権の価値

そして建物の配偶者居住権の価値は、建物の現在価値から上記の負担付き所有権の価値を引いたものになります。

建物の配偶者居住権の価値
=①2000万円-②5,116,800円
=14,883,200円

となります。

土地の配偶者居住権の金額

続いて土地の配偶者居住権の計算方法について解説させて頂きます。

配偶者居住権=①土地の現在価値-②負担付所有権の価値ですので、①②の金額を明確にしていきます。

①土地の現在価値

土地の現在価値は、相続税評価額を基準としますが、建物と異なり必ず土地の固定資産税評価額と同じというわけではありません。

土地の相続税評価額の詳しい計算方法については、国税庁のHPをご参考下さい。
国税庁HP

土地の相続税評価額のだいたいの目安を計算したいということでしたら、固定資産税路線価は地価公示価格の約7割、相続税路線価は地価公示価格の約8割程度であるため、8÷7≒1.14倍を固定資産税評価額に掛け算したものを相続税評価額の目安とすることも可能です。

②配偶者居住権が付いた所有権の価値

土地の配偶者居住権が付いた所有権の価値は次の通りです。

土地の負担付き所有権の価値

負担付き所有権の価値=
Ⓐ土地の相続税評価額×Ⓑ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

Ⓐ土地の相続税評価額

土地の相続税評価額については、先ほど説明しました土地の現在価値をご参考下さい。

Ⓑ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

この複利現価率は、先ほど記載した建物の複利現価率で記載したものと同じですので、そちらをご参考下さい。
複利現価率の表

計算例

具体例を使って計算してみます。

例題の設定

配偶者:妻
年齢:65歳
土地の相続税評価額:3000万円
配偶者居住権の期間:終身

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権=①建物敷地の現在価値-②配偶者居住権が付いた所有権の価値

①建物敷地の現在価値は、相続税評価額は3000万円と分かっているので②配偶者居住権が付いた所有権の価値を算出します。

土地の負担付き所有権の価値

負担付き所有権の価値=
Ⓐ土地の相続税評価額×Ⓑ残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

土地の負担付き所有権の価値を計算するには、Ⓐ土地の相続税評価額とⒷ複利現価率が分かれば計算することができ、Ⓐ土地の相続税評価額は3000万円と分かっているので、Ⓑ複利現価率を算出します。

まず、配偶者居住権の期間を「終身」と設定したので、配偶者の平均余命年数を算出します。(平均余命年数一覧表
65歳の平均余命年数は24年となります。

次にⒷ複利現価率を見ていきます。(複利現価率一覧表
平均余命年数24年の複利現価率は0.492となります。

これらの数字を当てはめていくと

土地の負担付き所有権の価値
=Ⓐ3000万円×Ⓑ0.492
=14,760,000円

となります。

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権=①建物敷地の現在価値-②配偶者居住権が付いた所有権の価値

そして土地の配偶者居住権の価値は、土地の現在価値から上記の負担付き所有権の価値を引いたものになります。

土地の配偶者居住権の価値
=①3000万円-②14,760,000円
=15,240,000円

となります。

まとめ

配偶者居住権の計算方法について、まとめさせて頂きました。

分かりにくい計算にはなりますが、是非参考にされて下さい。

また配偶者居住権の登記などについては、幸せ家族相続センターまでご相談下さい。

 

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