審判 流れ

遺産分割審判について

遺産分割審判とは、裁判官が遺産分割の方法を決定する手続きで、遺産分割調停とは、手続きの目的が次のように異なります。

手続きの目的

調停:当事者が自主的に解決していく
審判:遺産分割を裁判官の判断で決定していく

遺産分割調停は、当事者が合意によって遺産の分割内容を決めていきますが、遺産分割審判は、裁判官が相続人の主張や証拠などの事実確認を経て判断を下していきます。

ただし、遺産分割審判手続き中であっても、話し合いの機会がもたれることもあり、話し合いが成立すれば、審判手続きは終了されます。

なお、遺産分割審判を詳しく知るには、前提として遺産分割調停について知っておく必要がありますので、遺産分割調停の詳しい内容はこちらをご参考下さい。

遺産分割審判の開始

遺産分割審判が始まるケースというのは、次の2パターンです。

 
①遺産分割調停が不成立に終わった場合

②遺産分割審判の申立をした場合
 

ただし実際に遺産分割審判が始まるのは、①のケースがほとんどです。

②については、遺産分割審判の申立をしたとしても、ほとんどの場合は、裁判所の職権で遺産分割調停から行うことになります。

ですので、申立をする際は、遺産分割調停の申立時の事を確認頂きたいのですが、念のため審判を申し立てる際の事も記載させて頂きます。

(遺産分割調停については、遺産分割調停の手続きの流れをご参考下さい。)

申立人

遺産分割審判を申し立てできるのは、次の人たちです。

申立人

・共同相続人
・包括受遺者
・相続分譲受人

共同相続人とは?
共同相続人とは、子や配偶者などの法定相続人の事をいいます。

包括受遺者とは?
包括受遺者とは、遺言により「遺言者の有する一切の財産のうち2分の1を、孫△△△に包括して遺贈する。」のように、特定の財産だけを遺言により譲り受けたのではなく、プラスの財産、借金などのマイナスの財産も含めて包括的に譲り受けた人の事をいいます。

相続分譲受人とは?
相続分譲受人とは、相続人から相続人の地位を譲り受けた人の事をいいます。
相続人の地位を引き継ぐので、プラスの財産以外にもマイナスの財産もあれば、マイナスの財産も引き継ぐことになります。
相続人に相続分を譲渡するときもあれば、相続人以外に相続分を譲渡するときもあります。

申立先

遺産分割審判を申立をする場合、次のどちらかの裁判所に申立をします。

申立先

相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所
・当事者が合意で定める家庭裁判所

どちらの裁判所が管轄になるか確認をされたい方は、「裁判所管轄」をご確認下さい。

必要書類

遺産分割審判の申し立てに必要となってくる書類は次の書類です。

申立に必要な書類

・申立書(当事者等目録、遺産目録、相続関係図等を含めます)
・申立の実情
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本(3か月以内)  
・相続人全員の住民票(3か月以内)
・遺産に関する証明書
(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳、株式明細等)

※相続人が兄弟姉妹(と配偶者)の場合
 被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

※相続人のうちに子又は兄弟姉妹の代襲者が含まれる場合
 本来の相続人(子又は兄弟姉妹)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

裁判所に提出する申立書等はこちらからダウンロードできます。

書類等については、家庭裁判所のHPからもダウンロードできます。
家庭裁判所の書式ダウンロードページ

費用・料金

遺産分割審判手続きでかかる費用は次の通りです。

遺産分割調停の費用

・収入印紙:1200円

・郵便切手:当事者数×3000円ほど
(裁判所によって金額が異なります)

・書類取得費用:~1,2万円ほど
(戸籍謄本、住民票等)

・交通費

※弁護士等に依頼した場合
・弁護士等報酬:10万~500万円
(内容・事務所によって異なります)

戸籍謄本や住民票などのほとんどの書類は、1000円以下で取得できるので、実費は1万円以下で済むケースは多いです。

一方で弁護士や司法書士などに依頼した場合、依頼する内容・事務所で大きく金額は異なってきます。

弁護士費用

弁護士が手続きを行う場合、遺産分割調停の手続きを基本的に代理することができます。一般的な弁護士事務所は弁護士会の旧報酬基準と同じにしている事務所も多いので、弁護士費用の相場は次のような金額になってきます。
 
 ・
着手金(旧弁護士報酬基準)

相続財産弁護士報酬(税別)
~300万円相続財産の8%
300万円~3000万円相続財産の5% + 9万円
3000万円~3億円相続財産の3% + 69万円

この基準で計算した場合、相続財産が1000万円だと、着手金は59万円(税別)です。

 ・成功報酬(旧弁護士報酬基準)

相続財産弁護士報酬(税別)
~300万円相続財産の16%
300万円~3000万円相続財産の10% + 18万円
3000万円~3億円相続財産の6% + 138万円

この基準で計算した場合、相続財産が1000万円だとすると、成功報酬は118万円(税別)です。

司法書士費用

司法書士に依頼した場合、司法書士ができる内容は、遺産分割調停の申立書の作成や必要書類の収集、その他のサポートはできますが、相手方の交渉や代理での出廷等はできません。

司法書士に依頼した場合の費用相場は、10万円~30万円ほどです。

それでは、遺産分割審判が開始した後は、どのような手続きを裁判所で行うのでしょうか?

日数・期日回数

遺産分割調停・審判手続きでは、どのくらいの日数がかかり、何回ほど期日は実施されるのでしょうか?

次のグラフは、家庭裁判所が公開している遺産分割調停・審判での審理期間・期日実施回数です。数値は調停と審判を合算したものとなっております

期日
審理期間(平成30年度)
期日回数
実施期日回数(平成30年度)

遺産分割審判は通常1回の期日で終わることはありません。

審判期日は、相続人が主張・資料提出を出し切るか、裁判所が審判するのに熟したと判断するまで継続して行われます。

期日は、1か月から1カ月半の間に1回の間隔で行われます。

審判手続きの進め方

遺産分割審判は、どのような形式で進めていくのでしょうか?
調停との共通点、違いを踏まえて説明します。

遺産分割調停との共通点

遺産分割調停と審判の共通点には次のようなものがあります。

手続きの進め方①

調停・審判の共通点

調停・審判:非公開の場で進行

遺産分割調停、審判は進め方、主張の方法や相続人同士での競技方法についての違いはありますが、一般的な傍聴ができる裁判とは異なり、非公開の場で進められていくので、相続人同士の話し合いを一般の方に聞かれることはありません。

遺産分割調停との違い

次に遺産分割調停と審判の違いについて説明します。

手続きの進め方②

調停・審判の違い

調停:調停委員を通して、当事者間で話し合いを行う
審判:当事者が裁判官に対して、書面で主張・立証を行う

遺産分割調停では、裁判官1名と調停委員2名以上で進めていき、調停委員は、有識者や社会経験豊富な民間人から選ばれます。
相続人は、調停委員を通して話し合いを進めていきます。

一方、遺産分割審判では、調停委員はおらず、裁判官が指揮をとって進行を管理していきます。
その裁判官に対して、当事者は争点になっている点を書面で主張・立証を繰り返していきます。
主張を記載した書面を「主張書面」といい、それを立証する証拠を「証拠資料」をといいます。
証拠資料には、戸籍謄本、住民票などの身分を証明する書類や、固定資産税評価証明書、登記事項証明書などの不動産の証明書類等があります。

手続きの進め方③

調停・審判の違い

調停:別室で、当事者は調停委員を通して話し合い(例外あり)
審判:同室で、当事者同士が主張、立証

調停では、原則、調停委員が当事者からそれぞれ別室にて交互に事情聴取しますが、例外的に当事者全員が同室で話をすることもあります。

審判の場合、相続人全員が同室に集まり、対面しながら裁判官指揮のもと進めていきます。

期日で行うこと

第1回の審判期日では、基本的に争点の整理がされます。

争点整理を経た後、事実調査が必要かどうか判断されます。

事実調査では次のようなことを行います。


①審問、聴取:当事者や関係者から事情を聴取します


②証拠調べ:不動産の鑑定など証拠調べを行います

③職権調査:家庭裁判所調査官が職権で調査します


④調査嘱託:金融機関、役所などへ調査を嘱託します

 

①審問・事情聴取

遺産分割の審判において裁判所は原則、相続人等の当事者からの陳述を聴取する必要があります。

裁判所が聴取する方法に細かい決まりは無いので、裁判所は書面で確認することも口頭で確認することも可能です。

ただし、当事者から申出があった場合、審問期日において陳述を聴取する必要があります。そして実務では、審問が行われることは非常に多いです。

また、裁判所が当事者から事情を聴取する場合、原則、他の当事者は、審問に立ち会うことも可能です。

ただし、他の当事者が過去に暴力をふるっていたなど、立ち会うで当事者からの聴取に支障をきたす恐れがある場合は、立ち合いを制限される恐れがあります。

根拠条文

家事事件手続法
 
(陳述の聴取)
第68条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。

(審問の期日)

第69条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。

②証拠調べ、③職権調査、④調査嘱託

裁判では、原告・被告からの証拠に基づいて判決を行う必要があり、独自に証拠等の調査を行うことはできませんが、調停・審判では、当事者からの主張や提出されていない証拠以外の事実、証拠を職権で調査することができます。
そのため裁判所が不動産鑑定やDNA鑑定を行うことも可能であり、実務上でも行われることもあります。

もちろん、裁判所から当事者に対して証拠資料を提出するよう求めることも可能です。

また、役所や金融機関などに対して、調査を嘱託することもできます。なお、調停と審判は別の手続ですので、調停手続きでの資料等は、審判で当然に資料になるわけではありません。

根拠条文

家事事件手続法

(事実の調査及び証拠調べ等)

第56条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。

2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。

(調査の嘱託等)
第62条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。

(証拠調べ)

第64条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。


(家事審判の手続の規定の準用等)

第258条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。

期日に出席しないとどうなるの?

遺産分割調停では、法律上、出席をしない場合、過料の規定が定められていますが、実務上、罰則が適用されることは、ほとんどありません。

なので、相続人が遺産分割調停に出席せず、調停委員会が成立する見込みがないと判断した場合は、調停不成立となり、その時点では欠席者に不利益なことが被ることはありません。

根拠条文

家事事件手続法

第272条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。

しかし、遺産分割審判においては、相続人が出席をせずとも、裁判官指揮のもと進行されて行きますので、欠席し続けた場合は、寄与分や特別受益などがあったとしても、その主張をしていないために、裁判所では、相手の主張と裁判官の判断のもと審判が決定します。

そのため、欠席し続ければ自分の主張が反映されず、相手に有利な結果で終わる可能性が高くなります。

審判で決定できない内容

遺産分割審判はあくまで遺産をどのように分割していくかを決定していく手続きですので、遺産分割審判では決められない内容も多く、そのような内容は遺産分割審判とは別の裁判、申立が必要となります。

1.寄与分の決定

遺産分割調停の中で、寄与分について相続人間で協議し、寄与分があることを前提に遺産分割調停をすることは問題ありませんが、遺産分割の調停・審判において、裁判所が寄与分を決定することはできず、寄与分を決定する場合は、寄与分を定める処分調停・審判が必要となります。

そして、遺産分割審判が申立されているときに、寄与分を定める処分審判を申立てする場合は、同じ家庭裁判所でする必要があり、2つの審判手続きは併合して行われます。

根拠条文

家事事件手続法

(管轄)

第191条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。

(手続の併合等)

第192条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。

2.遺言書の有効性

遺産分割審判では、そもそもの遺言書が有効かどうかの判断について、裁判所が決定することはできないので、遺言無効確認の訴訟などを通して確認していく必要があります。

3.遺産範囲の確認

被相続人の遺産がどこまで含まれるかについては、地方裁判所で遺産確認請求の訴訟を提起する必要があります。

4.遺留分減殺請求

遺産分割調停で遺留分減殺の話し合いがまとまらない場合、遺留分減殺については、地方裁判所にて遺産分割請求権を前提にした、不当利得返還、所有権移転登記手続き等を求める訴訟を提起する必要があります。

審判

家庭裁判所は、原則、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければなりません。そして、審理が終結した際には、審判の日を決定する必要があります。

審判された際には、審判書というものが作られ、その中には、遺産分割について裁判所が決定した審判の結果、その理由等が詳細に記載されています。

審判書は書記官から渡されるときもあれば、郵便で送付される時もあります。

相続人は、その審判書やその他必要となる書類を持って、各機関(法務局、銀行、ゆうちょ銀行など)で審判内容に沿った手続きを進めていきます。

不服申立

遺産分割について審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内であれば、即時抗告の申立をすることができます。

即時抗告は、審判を出した家庭裁判所に対して行います。
申立は、2週間と期限が決められているため、変更、取り消しを求める事由などを記載せず、申立することは可能です。

詳細については、家庭裁判所のHPもご参考下さい。https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_05_2/index.html

まとめ

遺産分割審判の手続きについて、ご理解頂けましたでしょうか?

遺産分割調停では、相続人間の合意による円満な自主的解決を目的としていきますが、遺産分割審判の場合は、裁判官指揮のもと、相続人同士が権利主張をしていきますので、相続人同士の関係が対立関係となる可能性は十分にあります。

このような遺産分割で紛争にならないようにするためにも、被相続人が生前のうちにしっかりと相続人たちと財産の事について協議しておくことが重要となります。

財産について、生前の準備を検討されている方は、是非一度、幸せ家族相続センターまでご相談下さい。

 

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