遺産相続のため、いざ遺言を作成するとなった場合、様々な形式の遺言があるためどのように作成するか悩む方も多いのではないかと思います。

そんな時は、「公正証書遺言」で作成するのがおすすめです。

今回は、公正証書遺言のメリットやデメリット、自分で作成する「自筆証書遺言」との違いなどについて解説していきたいと思います。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとは?

まずは公正証書遺言と自筆証書遺言の違いについて解説していきたいと思います。

自筆証書遺言とは何か?

自筆証書遺言というのは、遺言の全文を本人の自筆で書く遺言のことです。

自筆証書遺言は作成するにあたって特に手続きが必要になることはありませんし、費用もかかりません。加えて誰かの立ち会いなども不要なので、家庭内の事情などを他者に知られたりすることなく作成することが出来るという点も魅力です。

加えて、紙とペンがあれば誰でも気軽に作成することが出来るというのもポイントです。

ただし、あくまで作成者本人が自筆するというのが重要であり、誰かに代筆してもらったりワープロ・パソコン等で作成すると無効になってしまいます。(ただし、2019年1月13日の法改正によって、財産目録については手書きの必要はなうなりました。)

また、詳細は後述しますが、様々な要因によって無効になったり、トラブルの元になってしまうこともあります。

公正証書遺言とは何か?

自分で作成する自筆証書遺言に対して、公正証書遺言というのは公証役場にて証人立ち会いの下、公証人に作成してもらう遺言のことを指します。

こちらは自筆証書遺言と違って作成までに手続きの手間や費用がかかりますが、公証人に相談し、適切なアドバイスを受けながら作成してもらうことが出来ますので、遺言の内容などに悩んでいる場合などは大きな助けとなります。

また、詳細は後述しますが、無効になったり後のトラブルが少ないというのが最大の利点です。

自筆証書遺言の場合に起こりえるトラブルの例

紙とペンがあれば誰でも気軽に作成出来る自筆証書遺言ですが、実は様々な要因で無効になってしまったり、トラブルにつながってしまうこともあります。

次は、自筆証書遺言の場合に起こるトラブル事例についてご紹介していきます。

筆跡が本人のものかで揉める

自筆証書遺言によるトラブルの中でもよくあるのがこのケースです。

自筆証書遺言は手書きで作成しますので、後になって遺族の方の中の誰かが筆跡が本人のものではないと主張し、遺族間での争いや訴訟に発展することもあります。

形式の不備により無効になる

自分自身で気軽に書くことができ、いつでも書き直すことが出来る自筆証書遺言ですが、それでも作成には細かい規定があります。

そのため、多くの場合自筆証書遺言は何らかの不備を抱えていることが多く、その結果無効になり、遺族間でトラブルが発生してしまうことも少なくありません。

また、不備はなくても遺産分配の内容が曖昧だったり、書き漏らしがあったためにトラブルが発生するケースもあります。

「無理矢理書かせたのではないか?」と言われる

遺言を作成する際は、作成者自身に遺言の内容を正しく理解し、判断する「遺言能力」が必要となります。

なので、例えば認知症などで作成者の遺言能力が無い場合、作成された遺言は無効になってしまいます。

そのため、相続内容に納得がいかなかった相続人の方が「○○さんは生前認知症を患っていたので遺言能力は無かった。その遺言書は✕✕さんが無理に作成させたものの可能性がある」と主張し、裁判などのトラブルが発生する場合もあります。

紛失や破棄・改竄・隠匿のリスクもある

自筆証書遺言は保管場所にもよりますが、紛失してしまったり、悪意ある相続者によって意図的に破棄されてしまう場合もあり得ます。

また、それだけではなく、内容を改竄されてしまう可能性もありますし、ある相続者にとって都合が悪いからという理由で隠匿され、遺言自体が無かったことにされてしまうリスクもあります。

公正証書遺言のメリットは?

では、次に公正証書遺言を作成するメリットについてご紹介していきます。

プロである公証人が遺言を作成

自分で遺言を作成する自筆証書遺言と違って、公正証書遺言はプロである公証人に内容を口頭で伝え、作成してもらうという形になります。

そのため本人の筆跡かどうかという点で揉めることはあり得ませんし、形式上の不備により遺言が無効になることもほとんどありません。

また、自筆することが難しい方でも遺言を残すことが出来ますし、話せない方の場合でも手話通訳によって遺言を作成してもらうことが出来るというのも公正証書遺言のメリットですね。

改竄や紛失のリスクが無い

公正証書遺言を作成した際、その原本は必ず公証役場に補完されます。

そのため、自筆証書遺言と違って紛失してしまったり誰かに意図的に破棄されてしまったりするリスクがありませんし、改竄することも出来ません。

家庭裁判所での検認の手間が無い

自筆証書遺言の場合、実際に遺言の内容が執行される前に家庭裁判所にて検認という手続きが必要となります。

この検認というのは各相続人に対して遺言書の存在とその内容を周知し、その後の偽造などを防ぐための手続きです。

しかし、公正証書遺言の場合はこの検認の手間を省略することが可能です。(また、自筆証書遺言の場合であっても、法務局にて遺言を保管してもらっている場合は検認は必要ありません。)

公正証書遺言のデメリットは?

先にご紹介したように、自筆証書遺言の場合に起こりえるトラブルを未然に防いでくれるのが公正証書遺言の大きなメリットです。

しかし、その反面デメリットもありますので、次はその点について解説していきたいと思います。

手間と費用がかかる

公正証書遺言を作成する場合は、まず事前に公証役場に連絡を入れ、作成する遺言の内容や手続きの日取りを決定しなくてはなりません。

公正証書遺言は公証役場にて作成しますが、公証役場は平日午前9時から午後5時までしか開庁していませんので、人によってはスケジュールを調整する必要があります。自筆証書遺言に比べて手間がかかるというのがネックですね。

さらに、公正証書遺言の作成には公証役場ごとに定められた費用がかかります。

この費用は遺言により相続する財産の価額に応じて

・価額100万円までの場合:手数料5000円
・価額100万円~200万円までの場合:手数料7000円
・価額200万円~500万円までの場合:手数料1万1000円
・価額500万円~1000万円までの場合:手数料1万7000円
・価額1000万円~3000万円の場合:手数料2万3000円
・価額3000万円~5000万円までの場合:手数料2万9000円
・価額5000万円~1億円までの場合:手数料4万3000円
・価額1億円~3億円までの場合:手数料4万3000円(+価額5000万円超過ごとに手数料1万3000円)
・価額3億円~10億円までの場合:手数料9万5000円(+価額5000万円超過ごとに手数料1万1000円)
・価額10億円以上の場合:手数料24万9000円(+価額5000万円超過ごとに手数料8000円)

という具合に変動します。

証人は2名以上が必要

公正証書遺言を作成する場合、必ず2名以上の証人に立ち会ってもらう必要があります。

また、証人は下記で紹介する民法974条で定められた条件に該当しない方でなければなりませんので、証人を用意するのにも手間がかかります。

(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一  未成年者
二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

(引用元:民法974条)

知り合いや友人などから証人となってくれる方を探すことが出来ない場合は、公証役場にて証人を紹介してもらうことも可能ですが、その場合は立会いにあたる証人の日当分の費用が別途必要になります。

証人の費用は公証役場によって違いはありますが、おおよそ証人一人につき6000円程度が相場のようです。

ただし、夫婦で同時に遺言をする場合などは若干費用も高くなります。(9000円程度。)

まとめ

今回は公正証書遺言と自筆証書遺言の違いなどについて解説させていただきました。

公正証書遺言は作成するのに手間と費用は必要になりますが、それでも、遺族に無用な混乱を招くリスクが少ないという点を考えれば、遺言を残すならやはり公正証書遺言を作成する方が安心感は高いと言えるでしょう。

この記事を読まれた方、そしてそのご親族の方々がスムーズで円満な遺産相続をおこなうことが出来れば幸いに思います。

 

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